小児外科部門紹介

小児外科グループが一般消化器外科教室内の新設部門として平成27年4月に旧大阪医科大学附属病院で診療を開始してから早くも７年が経過しました．当グループでは15歳までの幅広い年齢の患児に対して手術治療を行いますが，なかでも出生直後の新生児を対象とした新生児期外科は大きな柱の一つです．そして食道から肛門までの消化管の一部が閉鎖している消化管閉鎖や肺などの呼吸器官の先天異常，腹部臓器が体外に脱出している腹壁疾患，卵巣腫瘍や停留精巣などの性腺の疾患など，その内容は多岐にわたります．胎児期に診断される出生前診断も大きく進歩し，外科的治療を要する疾患の多くが出生前にわかるようになりました．ですが必ずしもこの時期に緊急に手術治療を行うわけではありません．疾患によっては複数回に分けて手術を行ったり，新生児期には治療を行わず成長を待って手術を行うものもあります．また保存的な治療がベストであればその治療を選択し，経過を辛抱強く待つということもあります．

生まれた直後の赤ちゃんにいきなり訪れる試練ではありますが，我々小児外科領域のスタッフは出生前は産科医と，出生直後からは新生児科医と密接な連携をとりつつ，その患児にとって一番ベストなタイミングで，そしてベストな医療を提供できるように邁進していきたいと考えています．更には単純な生命予後だけではなく結婚や妊娠，出産といった将来的なライフイベントまでを考慮した治療を考えていかなければなりません．例えば従来の開腹手術では腹部を大きく横に切る手法が主でしたが，美容的な面を考えて当院では疾患によってはおへその周囲を円周状に切って開腹する手技を取り入れており，術後の創部がより目立たなくなるように工夫を凝らしています． 　

不運な子どもたちを不幸にしないために，とは小児外科医の中ではよく知られた言葉ですが，その為にも我々は身につけた技術をもって患児に真剣に向かい合いたいと思っています.

スタッフ紹介

卒業年	京都府立医科大学 平成6年
現職	講師
専門領域
小児消化器外科，小児泌尿器科
専門医
外科専門医，小児外科専門医

 

治療成績

2015-2021年の新生児症例

		2015-2021
新生児症例 （非手術含む）	直腸肛門奇形	11
	腹壁破裂，臍帯ヘルニア	5
	肺疾患（気胸含む）	5
	小腸閉鎖，狭窄症	4
	肥厚性幽門狭窄症	3
	腸回転異常症	2
	リンパ管奇形	2
	胎便性腹膜炎	2
	先天性横隔膜ヘルニア	1
	Hirschsprung病	1
	消化管穿孔	1
合　計		37例

 

受診方法

ご相談・問い合わせ先等

毎週水曜日午前：小児外科外来（担当：富山）
一般消化器外科外来にて行っています．また緊急，臨時の相談対応も随時行っていますので時間内は外科外来，時間外は救急窓口若しくはNICUを通じてご連絡下さい．