これまで入院で実施していた抗がん剤治療を外来で行うことの目的は、お仕事や通学、家族生活を送りながら治療を継続し、患者さんのQOL: quality of life(生活の質)の維持向上ができるように支援することです。大阪医科薬科大学病院化学療法センターは初代センター長の故・瀧内比呂也教授のもと、2006(平成18)年に開設されました。その後15年以上が経過し、化学療法を取り巻く環境は開設当時と比べて大きく変わりました。
免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬剤の登場、緩和ケア医療の推進やがんゲノム医療などの新しい治療概念の出現により、より深い専門知識と多職種連携が一層重要な部門となりました。
2022年に12階A病棟へ移転し、化学療法ベッドも24床から35床へ増床されました。
利用患者数は年々増加し2023年度の利用件数は約12000件であり、今後さらなる増加が予想されます。
同フロアに緩和ケアセンターやがんゲノム医療管理室なども集約され、多様化するがん治療にも対応すべく、専任医師や様々なクリニカルスタッフが連携して職種横断的で質の高いがん診療を提供しています。そして、外来化学療法センターは当院最上階に位置し、見晴らしの良い場所で住み慣れた街を眺めながら安心して治療を受けられる環境作りを心がけています。
一生の間で国民の半数以上が「がん」に罹患する昨今、「がん」は特別な病気ではなくなりつつあります。我が国でがん対策基本法が策定された背景と目標としては、年々増加するがん患者の予後向上とがん患者を取り巻く社会環境の改善が挙げられています。
複雑化する治療や社会に対応すべく、我々はがん薬物療法専門医・がん専門薬剤師・がん化学療法認定看護師など専門家の育成に力を注ぎ、メディカルソーシャルワーカーや地域の在宅緩和ケア医とも連携し患者さんならびにご家族も安心して治療を受けられる総合的ながん治療が行えるセンターを目指し、今後も尽力していく所存です。
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