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センター長あいさつ


2023年3月より大阪医科薬科大学病院 肝疾患センター長に就任させていただくことになりました。大阪医科薬科大学病院は2008年7月に大阪府の推薦に基づき、厚生労働省の設置許可を経て、肝疾患診療連携拠点病院の指定を受けました。そして、拠点病院としての事業を円滑に遂行するため、現在の組織の前身である肝疾患相談支援センターが設置されました。その後、組織改変を経て、2018年3月より肝疾患センターへと発展し、現在に至ります。
肝疾患は、肝炎ウイルス、アルコール、脂肪肝、薬剤、代謝性、その他の数多くの原因から発症することが知られており、それぞれ治療方法も異なります。また、それらの疾患は患者自身が気づかないうちに慢性化することも多く、その結果、肝硬変、肝がんに至ることも大きな問題となっています。そのため、それらの疾患の正確な診断や肝がんの早期発見、的確な治療には、肝臓病診療の専門的な医療機関とかかりつけ医との連携が必須です。以上から当センターは肝疾患診療連携拠点病院として、院内外を含む医療従事者への情報提供、肝疾患に関する専門医療機関との連携、肝疾患に関する相談業務、地域住民に対する肝疾患に関する啓発を目的として活動しています。
特に当センターは肝炎ウイルス対策に注力を払ってきました。その理由が、肝炎ウイルス対策が、肝がんの抑制につながるからです。本邦における死因の第1位は悪性新生物ですが、その中でも肝がんは第5位を占め、年間の死亡者数は約24,000人も存在することがわかっています(2020年度)。その肝がんに至る原因の多くが、B型肝炎ウイルスもしくはC型肝炎ウイルスであることから、それら肝炎ウイルス患者に対する的確な治療は、肝がん発生の抑制につながります。当院は、病院をあげて肝炎ウイルス対策を行なっており、医師・看護師・肝炎医療コーディネータなど多職種が協力して、積極的に診断、治療を行っています。
その他にもWilson病等の先天性代謝肝疾患や最近増加している脂肪肝の診断・治療も積極的に行っています。
今後も肝疾患撲滅のために活動を進めていきたいと考えており、他の肝疾患専門医療機関やかかりつけ医の先生とも協力し、肝疾患診療レベルの向上を目指していく所存です。当センターの活動が皆様のお役に立ち、肝疾患を克服するための一助となることを切に願っております。


大阪医科薬科大学病院
肝疾患センター センター長
朝井 章