
センター長 あいさつ

このたび、前任の鰐渕昌彦教授の後任として大阪医科薬科大学病院がん医療総合センター長を拝命しました内科学II教室(消化器内科)の西川浩樹でございます。当センターは三島医療圏のがん医療の中心的な位置づけとされており、自分に課されたその重責に身の引き締まる思いでおります。関係各位におかれましては、引き続きのご指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願いします。以下、私なりの抱負を述べさせていただきます。
1. これからのがん医療総合センターとしての方向性
国立がん研究センターからの報告によりますと、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性62.1%および女性48.9%(2020年データに基づく)であり、日本人ががんで死亡する確率は男性24.7%および女性17.2%(2023年のデータに基づく)とされています。周知のごとく日本人の高齢化の波はすでに押し寄せており、今後がん患者数のさらなる増加が見込まれます。
一方、がん診断精度の向上、がん関連遺伝子解析の発達、がん関連医療機器の進化、臓器横断的に様々ながん腫に対して適応を有する免疫チェックポイント阻害薬等の新規薬剤の登場により、がん患者さんの予後が著しく改善している昨今の状況は大変喜ばしいことです。しかし専門性の高い、緻密な医療が求められつつあるのも事実であり、医療が高度に細分化されるが故に私たちが向き合うべき課題がそこには待ち受けております。
すなわち細分化されたわずかな部分にのみ集中するのではなく、多職種連携に基づく「がん患者ファースト」の目線が医療現場には常に求められているということです。医学・医療がいかに進歩したとしても、「Man is mortal」つまり人は最後には死ぬのです。その人ががんを患い、病と向き合う過程で我々医療者がどういったお手伝いができるのかということを考えた場合、「病は診れども人は診ず」では話になりません。
令和5年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画では、(1)がんを知り、がんを予防すること、がん検診による早期発見・早期治療を促すことで、がん罹患率・がん死亡率の減少を目指す(がん予防)、(2)適切な医療を受けられる体制を充実させることで、がん生存率の向上・がん死亡率の減少・全てのがん患者及びその家族等の療養生活の質の向上を目指す(がん医療)、(3)がんになっても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる地域共生社会を実現することで、全てのがん患者及びその家族等の療養生活の質の向上を目指す(がんとの共生)、という3つの骨子が明記されております。
当センターは、国が掲げるがん対策推進計画の本質を十分に理解し、「臓器横断的アプローチ」、「全人的アプローチ」、「多職種連携」、そして何よりも「患者ファースト」を合言葉に、方向性を揺るがすことなく、職員一同一丸となってセンターとしての活動を展開して参ります。
2. がん医療総合センターに通院する患者さんに何を感じ取ってもらうのか
当センターの社会的使命として、既述の第4期がん対策推進基本計画に基づき、
(1)地域がん診療連携拠点病院として、良質でかつ地域住民から信頼されるがん医療体制の確保・維持、
(2)近隣のがん診療を担う病院の機能強化のサポート、
(3)他の医療機関や介護施設などとの連携強化による三島医療圏のがん診療の向上、
(4)すべてのがん患者さんとそのご家族の肉体的・精神的苦痛を軽減し、療養生活の質的向上を常に心がけることによって、がんに罹患しても安心して暮らせる「生活しやすい」地域を構築すること、等が挙げられます。
一方現在、私たち大阪医科薬科大学病院は、「あたたかい病院」をスローガンに診療活動を行っております。つまり「至高のホスピタリティー」を患者さんに提供することを目指しております。
当センターを訪れる患者さんに期待と安心感を抱いていただけるよう、これからも職員一同全力で精進します。当センターを訪れる患者さんおよびそのご家族様におかれましては、当センターを上手く活用していただければ幸甚です。
大阪医科薬科大学病院 がん医療総合センター
センター長 西川浩樹
副センター長 あいさつ
