肝硬変
慢性肝疾患が、ゆっくりと進展すると肝硬変に至ります。
腹水や黄疸、意識障害、肝細胞癌や食道胃静脈瘤の原因になりますので、定期的に検査が必要です。
肝硬変とは 、文字どおり肝臓が硬くなって内部や表面に凸凹ができる状態のことであり、
様々な原因による慢性肝疾患の終末像です。肝臓には大きな力の貯えがあるので、
炎症や障害によって肝臓のおよそ8割が壊れても肝臓の機能は保たれると考えられています。
そのため、多少の肝障害があっても症状が出にくいことから、“沈黙の臓器”と呼ばれています。
むしろ、肝硬変の症状である黄疸や腹水などが現れたときには、
既に肝臓の障害がかなり進行していることを意味します。
症状がないからといって肝障害を放置するのではなく、定期的な検査をお勧めします。
肝硬変そのものを治療できる薬剤はほとんどありません。肝炎ウイルスなどの肝硬変の原因に対する治療や、
肝硬変によって起こる症状コントロールを目的とした治療を行います。
肝硬変は、病状の進行度によって大きく二つの時期に分けられ、それぞれに違った症状がみられます。
1)代償期:肝硬変の初期段階
自覚症状がない場合が多く、人によっては疲労感や体のだるさ、食欲不振
などを感じることがあります。
2)非代償期:肝硬変が中期~末期に進行した段階
皮膚や目の結膜が黄色くなる黄疸、腹水、むくみ、意識障害などがみら
れる。人によって、出る症状や度合いには個人差があります。
上記の症状が現れた場合には、それぞれの症状に合わせた治療が行われます。
現代医学では、肝硬変そのものを治す治療法はありません。そのため、日常生活の中で予防をすることや、非代償性肝硬変に進行をさせないことが大切になります。
肝硬変にならないために以下の注意点を守り、規則正しい生活をこころがけましょう。
① 栄養バランスの良い食事をとる(腹水やむくみがある場合は塩分の制限が必要)
② 適度な運動
③ 規則正しい生活
④ 肝臓に悪影響を及ぼすストレスの発散、リラックス
⑤ 風邪などの感染症予防(手洗い、マスク、うがい)
⑥ 定期健診を受ける
★夜食療法(夜間分割食:[Late Evening Snack]LES)とは?
肝硬変になった場合、もともとエネルギー消費量が多い一方で、肝臓でのグリコーゲンの貯蔵量も少ないため、
慢性的にエネルギーが欠乏した状態になっているといわれています。
一晩寝て翌朝起きると、健常な人が3日間絶食したときと同程度の飢餓状態になるとも言われています。
そこで、就寝前にもう一食軽く夜食をとって、肝臓が夜間にエネルギー不足にならないようにするのが
この夜食療法のねらいです。ただ、食事の回数を単に増やすだけでは、栄養過多になる恐れもあるため、
1日に摂取する総カロリーが増えないように調整することも必要です。
(かかりつけの医師・栄養士などに相談してみましょう)
肝硬変の根本的な治療法や薬はほとんどないため、肝硬変にならないように生活習慣に注意しましょう。 また、肝機能障害を指摘された場合には早めに医療機関を受診しましょう。