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肝臓病の基礎知識

脂肪肝

肥満改善の日常生活を送ることが大事!!

脂肪肝には大きく2つに分類されます。 1つ目に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)2つ目にアルコール性脂肪肝で、 1つ目の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール脂肪肝炎(NASH)があります。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、非飲酒者でありながら、 アルコール性肝障害に類似した脂肪肝や脂肪性肝炎、肝繊維症や肝硬変などの病態を示す一つの疾患です。
全世界人口で有病率が2019年で30%以上に増加しており、アジアでは非肥満(BMI23未満)の罹患率が高いと言われており、 特にアジア人はBMI30未満であっても内蔵肥満やインスリン抵抗性の合併症が欧米よりみられます。 また中でも日本人は脂肪肝を発症する遺伝子多型をもつと言われているのが国民病と言われる所以なのです。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、 画像もしくは組織学的上5%以上の肝細胞の組織に中性脂肪を主体にした脂肪の滴が蓄積した状態のことを言い、 人間ドック受診者の20-40%が脂肪肝の指摘を受ける病気です。
発症要因として、肥満や糖尿病、高脂血症などの関連から栄養過剰摂取でインスリンの抵抗性関与が大きいと言われています。 たとえ血液検査で肝機能異常を認めなくても高度肥満例で約90%糖尿病の50%で非アルコール脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症し、 発症後心血管への影響も上昇すると言われています。
非アルコール性脂肪肝(NAFL)は一般的に病気として捉えられていない脂肪肝で、 非アルコール脂肪肝炎(NASH)は肝硬変や肝細胞がんに進行する可能性のある脂肪肝で 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の10-20%を占めます。
非アルコール脂肪肝炎(NASH)は、好発年齢として若い頃は男性が、60歳以上の閉経後に女性に増加することがわかっています。 発がん率は、男性:女性=3:1で男性が優位とされ、特に糖尿病の罹患は肝臓がんリスクを2.5倍にすると言われており、 標準体重になっても、肝機能異常がある患者さんが、消化器内科へ診察に来られることは珍しくありません。
このような状況を呈するため、非アルコール脂肪性肝疾患(NAFLD)は全身に影響する病気で、生活習慣病の予防が一番大切です。

症状

肝臓は沈黙の臓器と言われ、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)では、自覚症状はほとんどありません。 肝硬変や肝細胞がんなどの発症により、初めて倦怠感、腹水などの症状が出現します。

治療

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断を受けたら、NAFLD/NASH治療フローチャートに則って、以下の治療を行います。
1.非アルコール性脂肪肝(NAFL)で脂肪変性のみの場合
 →肥満改善の生活習慣の見直しが中心です。
2.非アルコール脂肪肝炎(NASH)で肝臓の炎症が高くなってきている場合
 →肥満改善の生活習慣の見直し,基礎疾患に対する薬物療法を併用します。
3.肝硬変移行の場合
 →肝不全に対する治療を行い、安易な減量は避けます。

日常生活の注意点

肥満改善の生活習慣の見直しは、病気への治療に直結します。体重の無理な変化は、長続きが難しいため、少しずつ行っていきましょう。
-体重の減量‐

体重は、7-10%減量を目指そう‼


食事療法と運動療法の体重減少を目指します。体重の3%減量は、脂肪変性が消失し、体重の5%減量は炎症性が治癒、体重の7%は非アルコール脂肪肝炎(NASH)が治癒、体重の10%では肝臓の線維化が改善されると言われています。
①食事療法

減量ペースは1か月に2㎏程度を目指そう‼


体脂肪を1㎏減量するには、7200kcalの摂取エネルギーの減少が必要で、体脂肪2㎏減らすにはその倍14400kcalで、1日480kcal減らすと2㎏減らすことができます。
標準体重(BMI:22 身長【m】²×22)に対して、
軽労働(デスクワーク):25kcal/㎏
中労働(製造販売業など):30kcal/㎏
重労働(農業・漁業・建築業など):35kcal/㎏


食事はバランスに気をつけて食べてよう‼
 ・栄養素の摂取比率
  蛋白質:魚や大豆,脂質の少ない肉  15-20%
  お脂質:青魚や植物性油脂  20-25%
  糖質:砂糖ではなくなるべく穀物から 50-60%
 ・夜間の間食は避け、サラダなどを取り入れ、バランスよく食べる。
 ・食物繊維、ビタミンは十分とる
 ・よく噛む
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とアルコール性脂肪肝と見分ける指標として、アルコール性肝障害を来さない飲酒量であるエタノール換算で男性30g/日,女性20G/日未満を目安とします。 ビール350mlは150kcal、日本酒1合は200kcalと言われており、アルコール摂取を控えることは、エネルギーの減量にも繋がり、体重の減量にも有用です。

②運動療法

有酸素運動で10エクササイズを目指そう‼


エネルギー消費だけでなく、筋肉量が増加し、基礎代謝量が増加し減量を促進、インスリンの抵抗性も改善します。
注意点として、心拍数は40-50/分までの上昇に留まる強度にして下さい。
段階的目標に近づけ、急な負荷は避けましょう。
例えば、
Step1 週4-5日,1日20-30分歩行する
Step2 会話しながら息を弾ませながら歩行する
Step3 一つ前のバス停で降りる
Step4 遠くのスーパーに行く
などです。

他にもレジスタンス運動で筋肉量の増加を行うのも基礎代謝量を増加させる意味で有用です。
レジスタンス運動の例
・壁に手をついて、かかとあげ30回
・スクワット30回
・下肢を真横に上げる左右各30回
などです。

③行動療法

自らの課題を見出し、修正しよう‼


⑴ 目標の設定
⑵ どのようにしたら目標が達成でき、問題を解決できるのか
⑶ その方法はどうやったら続ける事ができるのか
⑷ 生じるストレスを管理する方法 
⑸ 頑張った時のごほうび
⑹まわりのサポートを使う方法

が行動療法継続の必要項目です。
上手く医療従事者を巻き込みながら、行動療法をしてみてはいかがでしょうか。

⑴ 1か月2㎏減量する。
⑵ 継続して運動が出来ない。友達と散歩しょう
⑶ 毎日の体重をグラフ化しょう。
⑷ 毎日の散歩で友人と会話を楽しむ
⑸ 週1回、チートデイ(cheat day)を作り、好きなものを自由に食べる
食事を節制の代わりに、毎日の化粧水を少し高価なものに変更する
⑹ 1か月の成果を医療従事者に認めてもらう。
などです。

④減量手術  高度肥満に対して胃の切除や腸の切除を行うことがあります。  具体的な適応は、6か月以上の内科的治療で効果不十分のBMI35㎏/m²の症例でⅡ型 糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のうち少なくとも1つを有する場合です。

まとめ

脂肪肝は、生活習慣の見直しをして規則正しい日常生活を送ることが病気の改善に繋がります。継続した努力が必要です。