腎臓内科

患者さんへ

腎臓内科は蛋白尿、血尿といった尿検査異常から腎炎、ネフローゼ、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、末期腎不全、透析療法などの腎疾患全般、さらに膠原病・血管炎などの特殊な疾患まで幅広い診療を行うところです。腎臓の機能が障害されても、はじめのうちは自覚症状が現われないため、放置すると症状を自覚する頃には透析が必要な状態になっていることもあります。それゆえ、腎臓は早期発見・早期治療が最も重要な臓器の1つと言えます。

この腎臓病の早期発見として最も重要なのは尿所見の異常であり、検診やたまたま受診した医療機関で異常(尿蛋白1+以上、あるいは尿蛋白±でも尿潜血を伴う場合)が見つかれば、腎臓病の可能性があります。一方、腎機能は血液のクレアチニンと年齢、性別から求められる推定糸球体濾過量(eGFR)が指標になります。

尿所見の異常やeGFRの顕著な低下がある場合に、まず外来でそれらの原因が本当に腎臓にあるのか、どのレベルまでの精密検査が必要なのかを調べます。その中で、活動性の腎臓病が疑われ、検査が可能な状態であれば「腎生検」の検査が必要になります(腎生検には5日間の入院を要します)。一部の腎炎はごく初期に診断できると、治療により押さえ込むことも可能です。

一方、腎臓病がある程度進行してしまった場合は、現在の医学では完全に腎機能を取り戻す治療はありませんが、腎臓専門医への早期紹介により、多面的治療が行えることで、透析や腎移植をせずに生活できる期間を延長できることがわかっています。さらに、腎機能低下の抑制により、脳心血管病発症を抑えることができ、結果的に健康寿命の延長が得られます。

慢性腎臓病(CKD)、糖尿病性腎症に対する教育入院も行っています。また、当科では、すでに腎臓病と診断されている方や、維持透析を施行されている方のセカンドオピニオンも積極的に提供しております。その場合には、検査の重複や行き違いを防ぐために、受診した医療機関の紹介状や検診の結果をお持ちください。

当科の特色

  1. 検尿異常・腎機能障害の精査(内科的腎疾患の早期診断─腎生検)
  2. 腎炎治療(ステロイドを含む免疫抑制剤による治療)
  3. 水・電解質代謝異常の精査
  4. 糖尿病性腎症に対する新規糖尿病治療薬の導入
  5. 慢性腎臓病(CKD)の保存的治療(降圧治療、食事療法、教育入院)
  6. 急性腎障害(AKI)のマネージメント
  7. AKI、末期腎不全に対する腎代替療法(血液透析、腹膜透析)
  8. 腎血管や内分泌などに起因する高血圧の精査
  9. ファブリー病や常染色体優性多発性嚢胞腎などの遺伝性腎疾患の治療
  10. 日本内科学会、日本腎臓学会、日本透析医学会認定専門医制度研修施設

主な対象疾患

  • 腎生検の病理組織に基づいた正確な診断を行います。IgA腎症については耳鼻咽喉科・頭頸部外科と連携して扁桃腺摘出、ステロイドパルス療法を行っています。SLEに伴うループス腎炎に対しては免疫抑制剤併用による最新の治療を行うことで病性の安定化を目指しています。
  • 腎生検による組織診断を必要とすることが多いです。シクロスポリン、タクロリムス等の免疫抑制剤、分子標的治療薬(リツキシマブ)を導入することでステロイドの総投与量を減らす工夫をしています。むくみ(浮腫)を呈することが多いですが、新規水利尿薬を積極的に導入することで良好な結果を得ています。
  • かかりつけ医と連携し腎不全への進行予防に向けた診療を行います。生活習慣病に関する薬物療法を開始します。看護師、管理栄養士と共にCKD患者教育にも力を入れています。また、本来糖尿病治療薬であったSGLT2阻害薬が腎臓の保護をもたらすことが近年の大規模臨床試験で明らかになりました。本薬剤の使用に関しても経験が豊富です。 
  • 糖尿病代謝内科と連携し、血糖、血圧管理に加え食事、運動、禁煙といった生活習慣の改善を行います。腎臓や心臓の保護作用が明らかになった新規糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬)を用いた集学的な治療を行います。糖尿病性腎症は透析導入原疾患の第一位です。糖尿病重症化予防外来では腎予後の改善、ならびに心血管イベントの抑制を目指しています。
     
  • 遺伝性腎疾患の中で頻度が高い指定難病疾患です。新しい治療薬としてトルバプタンが開発され、囊胞の増大を抑制することが報告されました。豊富なトルバプタンによる治療経験を有しています。また、一定の条件を満たせば公費助成を受けることが可能です。当科では申請のお手伝いをいたします。

その他の疾患・症状

  • 急性腎障害(AKI)
  • 透析合併症
  • 電解質異常(低Na血症、低K血症、高Ca血症など)

主な検査

超音波補助下経皮的腎生検術 / 腎臓超音波検査 / 腎動脈血流速度測定検査 / 四肢血圧脈波検査 / 24時間携帯血圧測定 

臨床指標

  1. 腎臓内科

    項目 実績 単位
    腎不全教育入院   43 人 
    急性腎炎患者数 0
    急速進行性腎炎症候群入院患者数 4
    腎生検実施数 33
    腎生検における合併症発生率 0.0
    慢性腎炎症候群入院患者数 16
    ステロイド大量療法実施患者数 5
    ネフローゼ症候群入院患者数 46
    慢性腎臓病入院患者数 24
    糖尿病性腎症入院患者数 25
    急性腎障害入院患者数 8
    急性腎盂腎炎入院患者数 0
    遺伝性腎疾患 6
    電解質異常 20
  2. 腎臓内科

    項目 実績 単位
    腎不全教育入院   62 人 
    急性腎炎患者数 0
    急速進行性腎炎症候群入院患者数 9
    腎生検実施数 22
    腎生検における合併症発生率 0.0
    慢性腎炎症候群入院患者数 14
    ステロイド大量療法実施患者数 18
    ネフローゼ症候群入院患者数 40
    慢性腎臓病入院患者数 35
    糖尿病性腎症入院患者数 25
    急性腎障害入院患者数 7
    急性腎盂腎炎入院患者数 1
    遺伝性腎疾患 4
    電解質異常 17
  3. 腎臓内科

    項目 実績 単位
    腎不全教育入院   42 人 
    急性腎炎患者数 0
    急速進行性腎炎症候群入院患者数 9
    急性腎不全入院患者数 0
    腎生検実施数 32
    腎生検における合併症発生率 0.0
    慢性腎炎症候群入院患者数 38
    ステロイド大量療法実施患者数 20
    ネフローゼ症候群入院患者数 25
    慢性腎臓病入院患者数 36
    糖尿病性腎症入院患者数 16
    急性腎障害入院患者数 16
    急性腎盂腎炎入院患者数 0
    遺伝性腎疾患 6
    電解質異常 1

関連ページ・サイト

施設認定

  • 日本内科学会研修施設
  • 日本腎臓学会研修施設
  • 日本透析医学会研修施設

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