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大学病院が提供「機能改善外科」チーム始動!

公開日

超高齢社会のニーズ、慢性疾患に対する代謝機能の改善に特化した外科医療チームを展開

ご挨拶 新医療チーム発足にあたって

 2023年度、私ども一般・消化器・小児外科は、『超高齢社会のニーズに即した身体機能の改善』、そして 『高血圧症や糖尿病などの慢性疾患に対する代謝機能の改善』に特化した外科医療チームを立ち上げました。
 私たちは今、人生100年時代に暮らしています。健康な体で長く生活することは誰もが望むことですが、 年齢とともに体力が衰えるのは自然なことでもあります。加齢などが原因で筋力が衰えて、鼠経/腹壁瘢痕 ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、直腸脱などを発症し、日常生活に支障を来しておられる方々の声を聴くことが 多くあります。このような疾患に対する外科治療の進歩は目覚ましいものがあり、1cmにも満たない小さな穴か ら体内に到達して脆弱な部分を補強修復することで身体機能の改善を図り、生活の質の向上が期待できます。
 一方で、高血圧や糖尿病などの慢性代謝性疾患は、身体だけでなく精神的にも経済的にも長期にわたる 負担を強いられることが明らかとなっています。当科では、慢性代謝性疾患を伴う高度肥満の方々に対して 横断的なチーム医療で包括的な支援を行ってきた実績があります。
 私どもは、多様化する超高齢社会に即した外科医療を展開すべく、この度、『機能改善外科』チームを始動 しました。これまで以上に、地域社会の人々に寄り添える、そして期待に応えられる医療を提供いたします 。

一般・消化器・小児外科
科長 李 相雄

鼠径/腹壁瘢痕ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、直腸脱、内痔核、痔瘻、虫垂炎、食道アカラシア、胆石発作、高度肥満、それ以外の「病名で迷う患者さん」もご紹介ください

腹腔鏡下胆嚢摘出術

こだわりの手技による、整容性や術後疼痛に優れた単孔式胆嚢摘出術を患者さんに提供

当科は、2009年にお臍の傷一カ所のみで行う単孔式手術を胆嚢摘出術に導入し、現在までに1,500例を超える単孔式胆嚢摘出術を行ってまいりました。単孔式手術の症例数としましては、トップクラスと考えています。また我々は、この単孔式手術の傷の大きさに、特にこだわりを持っています。できる限り傷を小さくすることが整容性や術後疼痛に優れていると考え、お臍の中のみの傷で手 術を行っており、実際、老若男女問わず多くの患者さんに 非常に満足いただいております。勿論、多数の手術を経験しているため、手技も定型化しており、重篤な合併症は経 験しておりません。安全で、体に優しい単孔式胆嚢摘出術 を患者さんに提供できると考えております。
また胆嚢癌が疑われたり、総胆管結石を伴う際にも、消化器内科と連携して患者さんにとっての最善な治療方法を提供いたします。

朝隈 光弘

当科オリジナルの単孔式手術専用のport(ポート)を開発

お臍に一つだけ穴を空けて行う腹腔鏡下手術です。傷はお臍に隠れるため、ほとんど見えません。体に優しく患者さんの満足度も非常に高い術式です。
非常に使いやすく、安全な単孔式手術を提供します。

ヘルニア

蓄積されたノウハウのもと、傷の見えない、痛みの少ない単項式手術を患者さんに提供

この度、ヘルニア外来を開設することになりました。ヘルニアの手術は、大学病院では行わないと思われている先生方も多いと思います。しかし、近年高齢化に伴い、鼠径/腹壁瘢痕ヘルニア、食道裂孔ヘルニアの患者さんは増えてきています。ヘルニアは、病状が進行することで患者さんのQOLは低下することになります。そこで、ヘルニアで悩んでいる患者さんに対しても、質の高い外科手術を提供したいと考えました。これまで当科で培ってきた安心・安全の腹腔鏡下手術をヘルニアの患者さんにも提供します。
また患者さんに満足していただけるよう、更なる低侵襲手術であるお臍の傷一つで手術を行う単孔式手術も行います。基礎疾患のある高齢の患者さんにも安心して手術を受けていただけるよう精一杯取り組んでいます。

今井 義朗

鼠経ヘルニアに対する腹腔鏡下手術『TEP法』

  • お腹の中より観察して確実に診断を行います。
    腹膜外腔を剥離してMeshを敷きます。
    再度、お腹の中から観察してMeshが敷けている事を確認してから手術を終了します。

『食道裂孔ヘルニア』に対する腹腔鏡下手術

開大した食道裂孔を閉鎖します。
穹窿部を巻き付けることで、逆流防止機構を作成します。

肥満

減量手術とチーム医療による包括的な肥満症治療で患者さんのライフスタイルを改善

近年食生活の欧米化に伴い肥満患者は増加傾向で、BMI35kg/㎡以上を高度肥満症と定義します。高度肥満症の患者さんは、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などの疾患を合併し、寿命も短いことが分かっています。しかし減量することで、肥満関連疾患も改善され予後も改善します。すなわち、肥満は治療すべき疾患なのです。減量は、食事療法、運動療法、内科的治療が中心なのですが、なかなか高度肥満の患者さんには、効果が不十分です。
近年、本邦でも胃の大半を切除する減量手術が保険収載されました。非常に高い減量効果と代謝疾患の寛解率が報告されています。そして患者さんの健康なライフスタイルを取り戻すため、内科医、麻酔科医、精神科医、看護師、栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーなどが連携を密にしてチーム医療を行い、包括的な肥満症治療を行います。

今井 義朗

BMIの自動計算

ご自身やご家族の身長と体重を記入し、「BMI計算」ボタンを押してください。

BMIの自動計算

BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}

身長:(cm)

体重:(kg)

BMI早見表

 
判定 BMI
低体重 18.5未満
普通体重 18.5~25未満
肥満(1度) 25~30未満
肥満(2度) 30~35未満
肥満(3度) 35~40未満
肥満(4度) 40以上

直腸脱

従来の手術で再発率の高かった直腸脱を、腹腔鏡下手術を行うことで 再発率の低下・症状の改善へ!

直腸脱とは肛門から直腸が脱出してしまう病態で、肛門痛、出血、便失禁などの症状を呈すことで患者さんのQOLは大きく低下します。また昨今の高齢化社会に伴い、直腸脱でお悩みの患者さんは増加しています。直腸脱の治療には手術しか方法がありませんが、従来より行われている脱出している腸管を縫い縮める方法は、再発率が非常に高いことが問題でした。しかし腹腔鏡を用いてお腹の中からずり落ちている腸を引っ張り上げる方法は、再発率も低く、当院では第一選択に行っております。また子宮脱や膀胱瘤も同時に併発している患者さんに対しては、産婦人科医師と協力し同時に手術を行っております。高齢者の方で、手術を躊躇する方もいるかと思いますが、症状を改善することで、健康な日常生活を取り戻してもらうため、これまで当科で培ってきた安心・安全の腹腔鏡下手術を直腸脱でお困りの患者さんに提供いたします。

鈴木 悠介

『直腸脱』に対する腹腔鏡下手術

直腸を吊り上げて、仙骨に固定します。腹腔鏡下手術のため低侵襲であり、かつ再発率も低い術式です。

受診について

受診をご希望の患者さんは、かかりつけ医にご相談ください。かかりつけ医から本院医療連携室にご予約していただき、診察日を事前にお取りいたします。

 『機能改善外科』チーム 初診外来担当表

消化管
李 相雄
膵·一般
朝隈 光弘 
消化管
李 相雄
  機能改善
今井 義朗
機能改善
今井 義朗
2024年7月現在

今井 義朗…機能改善(良性·悪性問わず)
李 相雄…上部·下部(腫瘍以外は指名のみ)
朝隈 光弘…膵(膵がん含む)
※腹腔鏡下胆嚢摘出手術は『機能改善』へ

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