放射線治療について

放射線腫瘍科

放射線治療は、機能と形態を温存できる、体にやさしいがん治療です。3大がん治療のひとつであり、早期から進行期まであらゆる段階で適用可能です。当院は「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」として、適切で充実したがん診療の提供に努めています。

高精度放射線治療

放射線腫瘍科では、高精度放射線治療を推進しています。

強度変調放射線治療(IMRT:Intensity-modulated radiation therapy)

IMRTは、コンピュータ技術を駆使して正常組織を避けて腫瘍にのみX線を照射する技術です。すでに有用性が示されている前立腺癌や頭頸部癌、脳腫瘍については、適応症例に対して確実にIMRTを実施していきます。今後は、骨盤領域やリンパ節転移、小数個転移、腹部領域においても適応拡大をこころみます。

定位放射線治療(SRT:Stereotactic radiation therapy)

SRTは、位置精度を高めて腫瘍に高線量のX線を短期間に照射する技術です。国内で実績のある早期肺癌(転移性含む)、肝臓癌(転移性含む)の適格症例に対して、積極的に実施していきます。今後は、4月に保険適用となった椎体転移や5個以内の小数個転移に対しても随時適応拡大していく予定です。また、脳転移に対する定位照射については、近年需要が急速に高まっているため、院内で対応できるよう早急に準備を進めています。
詳細は放射線腫瘍学教室のホームページをご覧ください。

集学的治療

BNCTの臨床導入や高精度放射線治療を推進する一方で、放射線治療と他の治療法を併用した「集学的治療」の実践にも注力しています。放射線治療と手術や薬物療法との併用療法は、多くの臓器において標準治療のひとつとなっており、キャンサーボードや臓器別カンファレンスにおける症例検討により、個々の患者に最適な集学的治療を提供しています。また、当院は地域がん診療連携拠点病院(高度型)として、がん医療総合センターの統括のもと、緩和ケアセンターや化学療法センターなどの多診療科、多職種による充実したチーム医療が整備されています。放射線治療はその中で重要な役割を担っています。
詳細はがん医療総合センターのホームページをご覧ください。

「BNCT(Boron Neutron Capture Therapy):ホウ素中性子捕捉療法」

BNCTはがん細胞に選択的に取り込まれたホウ素薬剤に中性子を照射することにより、がん細胞のみを破壊させる画期的な治療です。これまで治療手段のなかった、照射後の再発腫瘍に対しても、比較的安全に実施することが可能です。頭頸部癌や脳腫瘍などを中心に長期にわたり臨床データが蓄積されていますが、加速器を利用したBNCTは西日本唯一であり、これからが本格的な臨床導入となります。

保険診療について

2020年6月1日に「切除不能局所進行または再発頭頸部腫瘍」を対象に保険診療が開始されました。
また、今後は脳神経膠芽腫に対しても保険適用となることが期待されています。
附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科や脳神経外科との綿密な連携のもと、内外の適応症例に対して積極的にBNCTを実施していきます。

共同研究

新たなホウ素製剤の開発、中性子照射システムや線量管理などの物理工学研究など、関連する様々な分野での基礎研究によって、さらなる発展が期待されています。附属病院や薬科大学はもとより、学外機関にも広く門戸を開き共同研究に積極的に取り組んでいきます。
詳細は関西BNCT共同医療センターのホームページをご覧ください。