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アルツハイマー病新薬ドナネマブ(ケサンラ®)治療のお知らせ

公開日
アルツハイマー病の進行を抑える新しい治療薬としてドナネマブ(ケサンラ®)が、2024年11月26日に発売となりました。脳神経内科では、先行薬剤による抗アミロイドβ抗体治療の実績を積み重ねてきました。
ここに、ドナネマブ(ケサンラ®)を提供する体制を整えました。ドナネマブ(ケサンラ®)の特徴を活かして、皆様にとって相応しい治療法が選択されることを願っております。治療をご希望される際は、脳神経内科の「もの忘れ外来」をご利用ください。

1.ドナネマブ(ケサンラ®)の働き

 アルツハイマー病では、脳の中でアミロイドβタンパク質の塊(プラーク)が形成されます。プラーク中のアミロイドβタンパク質には、「ピログルタミル化」と呼ばれる変化が生じています。ドナネマブ(ケサンラ®)は、この変化を認識するように設計された抗体です。抗体の投与によってアミロイドβプラークの除去を促進させます。

2.ドナネマブ(ケサンラ®)治療の対象となる方

 治療対象は、
・アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)
・アルツハイマー病による軽度の認知症
です。問診、認知機能検査、画像検査などを行って治療適応を調べます。認知機能検査であるMMSEでは20~28点以内の方が該当します。あらかじめかかりつけのクリニックで、MMSEの点数を確認されますとスムーズに診察が進みます。
 

3.ドナネマブ(ケサンラ®)の投与方法と投与期間

①投与法:30分かけて静脈点滴を行います。
②投与間隔:4週間に1回の投与です。
③投与期間:治療開始後12か月の時点でアミロイドPET検査が陰性化(脳のアミロイドβプラークが除去された状態)していれば、その時点で投与終了となります。除去されていない場合は原則として最大18か月間まで治療が行われます。
 

4.ドナネマブ(ケサンラ®)の効果

 国際共同治験では、治療開始後17.5か月で5.44か月の進行を抑える効果が認められています。タウと呼ばれるタンパク質の脳内蓄積が軽度あるいは中程度の人々に絞ると、治療開始後17.5か月で7.53か月の進行を抑える効果が認められています。
 

5.ドナネマブ(ケサンラ®)の副作用に関して

 ドナネマブ(ケサンラ®)投与の開始当初は、アナフィラキシーや注入に伴う反応(インフュージョンリアクション)が現れることがあります。また、アミロイド関連画像異常と呼ばれる脳のむくみや出血などが現れることがあります。そのため、症状がなくても定期的に頭部MRI検査を行って副作用が生じていないか調べます。
 

6.ドナネマブ(ケサンラ®)治療を希望されるとき

脳神経内科のもの忘れ外来の予約をお取りください。
・第1・3月曜午前:荒若 繁樹(神経内科専門医・指導医、認知症専門医・指導医)
・毎週火曜午前:中村 善胤(神経内科専門医、認知症専門医・指導医)
が診察にあたります。
外来予約の取得には、かかりつけの主治医から当院医療連携室にご連絡ください。詳細な説明は、診察の中で行わせていただきます。
 
【お願い】診察及び検査時にはご家族の付き添いが必要です。受診日はご同行くださるようお願い申し上げます。
 

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