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心房細動に対する新たな治療(パルスフィールドアブレーション)開始のお知らせ

公開日

2025年4月1日より、心房細動に対する新たな治療(パルスフィールドアブレーション)が当院でも施術可能となりました。

1.パルスフィールドアブレーションとは

心房細動の治療法であるカテーテルアブレーションは、高周波通電や冷凍凝固バルーンなどの熱エネルギーが使用されてきました。すでに欧米では主流になっていて、2024年11月から本邦でも承認された、新たなアブレーション方法がパルスフィールドアブレーションです。これは瞬時に高頻度の高電圧をかけること(=パルスフィールド)により心筋細胞の細胞死を引き起こす新しいアブレーション方法です。パルスフィールドは組織特異性があるため、食道や神経、血管、肺などの心臓周囲の組織に対してダメージを与えることなく、心筋細胞だけをアブレーションすることが可能です。そのため本システムの原理はまさに理想的なアブレーション方法とされています。これまでの方法と比べて食道穿孔や肺静脈の狭窄などの重篤な合併症が非常に少ないことが大きな利点で、従来の方法と同様の治療効果の治療をより安全に受けていただけます。

2.パルスフィールドアブレーションの利点

これまでの高周波通電やクライオバルーンによるカテーテルアブレーション治療に比して、食道関連合併症、肺静脈狭窄、横隔神経麻痺の発生が極めて低いとされています。また、高周波通電によるカテーテルアブレーション治療に比して治療時間が短いことも報告されています。当院での数例の経験ですが、初回の心房細動に対するカテーテルアブレーション治療において入退室時間は1時間半から2時間程度となっています。以前の高周波カテーテルアブレーションでは3時間程度でしたので、当院におきましても短時間で治療可能となっております。

海外でのパルスフィールドアブレーション 17,642症例の報告

海外での心房細動に対するパルスフィールドアブレーション17,642症例の検討では、血管穿刺を行い、心腔内でカテーテルを操作することに関係する合併症は従来と同程度ですが、アブレーションのエネルギー源による合併症としての、食道関連合併症、肺静脈狭窄、横隔神経麻痺は0%と極めて低いことが報告されています。

3.当院でのフォロー体制

カテーテルアブレーション治療は退院して終わりではなく、術後の経過観察も大切です。術後も定期的に通院していただき、術後フォローも丁寧に行っております。当院では不整脈専門医が在籍していることや心臓血管外科が常に対応可能な体制であるなどの施設基準を満たしており、全国でも早期の導入が実現できております。
非常に合併症が少ない治療とされていますが、重大な合併症が発生した際には遅滞ない対応が必要です。普段から循環器内科医と心臓血管外科医がハートチームとして一体となって診察しており、万一の際の連携も良好です。

4.パルスフィールドアブレーション治療を希望されるとき

担当医師

・毎週火曜日午前:中村医師
(パルスフィールドアブレーション実施医、クライオバルーンアブレーション実施医、リードレスペースメーカ植込み実施医、国立循環器病研究センター病院 令和6年度レジデント・アウォード ベスト専門修練医(不整脈科) 優秀賞)

・毎週水曜日午前午後、第1、第3土曜日午前:宮村医師
(総合内科専門医、循環器専門医、不整脈専門医、パルスフィールドアブレーション実施医、クライオバルーンアブレーション実施医、リードレスペースメーカ植込み実施医、植込み型除細動器植込み履修登録、ペーシングによる心不全治療履修登録、皮下植込み型除細動器植込み資格、着用型自動除細動器処方資格、WATCHMAN左心耳閉鎖術実施医)

・毎週金曜日午後:高山医師
(内科専門医、産業医、パルスフィールドアブレーション実施医、クライオバルーンアブレーション実施医、リードレスペースメーカ植込み実施医)

受診について

受診をご希望の患者さんは、かかりつけ医にご相談ください。かかりつけ医から本院医療連携室にご予約していただき、診察日を事前にお取りいたします。

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