当科の特色とIVR診療の紹介
放射線診断・IVR科
当科の特色
- 放射線診断・IVR科の診療は、主にCT・MRI・核医学検査などの画像診断領域と、カテーテル治療やCTガイド下生検・ドレナージなどのIVR(画像下治療)領域に分かれます。
- 画像診断領域は、CT、MRI、核医学等において最適な撮影法の実施や、丁寧な画像診断を心がけ、疾病の早期診断や適切な治療方針に役立つことを目指しています。
- IVR領域では、外科治療・薬物療法・放射線治療と並んで、体に負担の少ない治療選択肢を提供します。外来では治療適応の相談や治療内容の説明なども行っています。
- 画像診断・IVR領域ともに、様々な分野の診療科及び部署と多職種で横断的に連携しながら、地域医療に貢献いたします。
IVR診療の紹介
IVRはインターベンショナル・ラジオロジーの略で、「画像下治療」と和訳されています。超音波・X線透視・CTや血管造影で体内の様子を映し出しながらカテーテルと呼ばれる細い管や針を用いて、できるだけ体に傷を残さずに処置を行うため、外科的手術に比べて体への負担が少ない点が特徴です。病気による症状の改善、臓器機能の温存、短期間の入院による早期社会復帰など、患者さんの生活の質(QOL)の維持にも役立つ新たな治療選択肢です。画像診断をもとに病変部に正確に到達し体内で行う色々な操作には、放射線診断医が経験と技術が活かされています。当科では院内各科と協力して、腫瘍や血管の病気を中心に以下のような色々なIVRを行なっています。
がんや良性腫瘍
- 肝腫瘍、腎腫瘍、頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍など多血性腫瘍に対する腫瘍塞栓術
- 膀胱癌に対するバルーン閉塞下動注化学療法(BOAI)
- 頭頸部癌に対する動注化学療法
- 子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)
動脈系
- 内臓動脈瘤、動静脈奇形(AVM)、大動脈瘤ステントグラフト治療後エンドリークに対する血管塞栓術
- 外傷性・医原性出血、消化管出血、喀血、産科出血に対する塞栓止血術
門脈系
- 胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)
- 肝胆道がんの拡大肝切除前の門脈塞栓術
静脈系
- 中心静脈ポート留置
- 静脈サンプリング(原発性アルドステロン症・膵神経内分泌腫瘍など)
- 精索静脈瘤・骨盤鬱血症候群に対する塞栓術(症候性や結紮術後の再発など)
- 下肢静脈奇形に対する硬化療法
リンパ系
- リンパ管奇形(リンパ管腫)に対する硬化療法
- 乳糜胸・胸管損傷に対するリンパ管造影
CTガイド下処置
- CTガイド下腫瘍生検、膿瘍・嚢胞ドレナージ など
特色(独自性)のあるIVRの取り組みについてご紹介します。
1. 進行膀胱癌のバルーン閉塞下動注療法(BOAI)
- 膀胱温存を目的として、独自に開発したダブルバルーンカテーテルを用いたバルーン閉塞下動注療法(BOAI)を行います。
- 泌尿器科や放射線腫瘍科と連携し、全身化学療法や放射線治療の併用など集学的治療の一環として行います。具体的な治療方針については、泌尿器科の受診が必要です。
2. 脈管奇形(いわゆる血管腫・リンパ管腫)
- 動静脈奇形(AVM)・静脈奇形・リンパ管奇形・混合型脈管奇形などに対して、血管塞栓術や硬化療法などの血管内治療を行います。レーザーや手術など院内各科と協力体制の構築を目指しています。(疾患・部位・病状によっては、行えない場合もあります。)
- 巨大・重症例は、指定難病・小児慢性特定疾病にも指定されています。国内に専門施設が少ないため、他府県からのご紹介の相談にも対応しています。
3. オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)
- オスラー病は、全身性に毛細血管拡張やAVMを合併する疾患です。当科では、主に肺AVMのカテーテル塞栓術を行います。肺以外にも、鼻血、脳・脊髄・肝臓・消化管のAVM、肺高血圧症・心不全など様々な病状を呈するため、院内各科と協力体制の構築を目指しています。
- 指定難病・小児慢性特定疾病に指定されています。国内に専門施設が少ないため、他府県からのご紹介の相談にも対応しています。