本邦ではB型肝炎は約150万人、C型肝炎は約200万人のウイルスキャリアが存在すると考えられており、抗ウイルス治療の進捗で近年はやや減少傾向ですが、依然として年間約2.5万人以上が肝癌で亡くなられています。
当科では、これら肝炎ウイルス関連疾患に対して、北摂地域の基幹施設として、慢性肝炎から肝硬変、肝癌への進展を防ぐべく、適切な管理と治療指針のもとにトータルケアを行っています。加えて、生活習慣病を基盤とした非アルコール性脂肪性肝疾患に対しても積極的に治療を行っています。また肝癌に対しては、早期発見システムの確立に加え、早期肝癌には安全性と根治性を追及したラジオ波焼却術、マイクロ波凝固療法を含む各種局所治療を行っています。進行癌には、肝動脈化学塞栓療法、放射線治療、分子標的剤治療、免疫チェックポイント阻害薬などを組み合わせた集学的療法を積極的に取り入れています。
膵疾患や胆道系疾患に関しては、最新の各種画像診断法と診療技術を駆使して、正確な診断と適切な治療を行っています。胆石・胆嚢炎や急性・慢性膵炎など良性疾患から胆管癌や膵癌に至るまで、全ての膵・胆道系疾患を扱っています。これらの疾患に対し、内視鏡を使ったERCP、EUS、膵・胆管ファイバー等で適切な診断を行い統合的な治療体系を形成しています。特にEUSを用いた診断・治療の症例数は日本有数です。
経過の長い疾患や定期治療を要する方々も多いため、地域の医療施設とも密接に連携をとり、質の高い医療を提供できるよう心がけています。また、北摂地区膵癌早期診断プロジェクトを立ち上げる予定です(お問い合わせは消化器内科 小倉健まで)。胆膵疾患に関する紹介患者さんは、24時間、病棟が空いている限り、かならずお引き受けいたします。