トピックス

大学病院が担う救急医療について

公開日

救命救急センターでは救急医療部が中心となり総合診療科や各専門科と協働して救急医療の飛躍を目指します

センター長からご挨拶

救命救急センター センター長 救急医療部 科長 高須 朗

三島医療圏の救急医療の「最後の砦」として、あらゆる救急医療に対応する救命救急センターが新しく設置されました。新本館A棟1階の大部分が初療フロアで、三次救急対応のCT室に直結した蘇生・手術室2室、さらに二次救急初療エリアがあります。3階の救命救急専用ICUへは直通エレベーターで連結され、初療からシームレスな診療を行います。

地域貢献をテーマに体制整備

当センター設置に至ったきっかけは、三島救命救急センターの老朽化と本学創立100周年記念事業として新病棟を建てる話が重なり、移転への流れが本格化しました。大学病院が併設されているので、病態が落ち着いた段階からは各診療科の医師に引き継ぎができ、転院しなくてよい点は地域の患者さんに大きなメリットとなります。

専門医によるチーム医療

1人の患者さんに医師が最低でも3名、看護師を合わせると5~8名のチームで対応します。また、複数の医師が分担して頭から足の先までを同時に診ていくことで、必要な処置と手順をその場で即決して実施します。常に重症度と緊急性を考えた判断を行いながら、チーム医療による多職種連携が実行される現場です。

高齢社会に欠かせない救命救急

医療の高度化や多様化が進んだ結果、90歳を超えた患者さんが救急搬送されてくるケースもあり、こうした高齢者は多様な病態を抱えている場合も多いため対応には慎重さが求められます。病態としては三次救命に該当しなくとも総合的に判断し三次として受け入れる社会的責任を果たすケースもあります。これらすべてを受け入れられるのが、私たちの特長です。

最後の砦としての役割を果たす

コロナ対応について当院では、当初の第1波から第7波まで常に重症患者を可能な限り受け入れてきました。現実問題として一般救急を受け入れながらのコロナ対応は、決して容易ではありません。とはいえ三島医療圏で私たちが担っている役割を考えれば、どちらも受け入れる責任があります。これだけの対応をできるからこそ名実ともに三島医療圏での最後の砦になりうると考えています。

総合診療科と救命救急センターとの協働でより総合的な急性期医療への貢献を目指す

      総合診療科 科長 鈴木 富雄

救命救急センターの開設に伴い、三次救急に関しては、救急医療部を中心に搬送用ホットラインでコールされる循環器内科や脳神経外科などの専門各科が高度で専門性の高い診療に注力できるように、一次・二次救急(特に夜間・休日体制)に関しては、総合診療科を中心に各科の臨床研修選任指導医と初期研修医が加わったチームを組んで臨んでいます。二次と三次の境界については救急隊の連絡時には難しいこともありますが、搬送後の状況から判断し、救急医療部とし協働して柔軟に対応しています。一次・二次救急の現場は年齢・性別を問わず様々な状況への対応が求められますが、上記のチームで対処できなければ各専門診療科の協力を仰ぎ、迅速かつ適切な診療が行われています。また、救急診療に携わる各診療科や多職種の代表者で構成される救急診療連携協議会が定期的に開催され、運営に関しては救急医療部と総合診療科のみならず、全病院的にサポートされる体制が構築されています。救命救急センター開設後、総合診療科の入院件数および各種の業務量が著しく増大しておりますが、救急診療に携わる責任の大きさと共に、急性期診療の一端を担うやりがいも感じており、各診療科や多職種の協力の下、地域医療に貢献していきたいと考えております。

「断らない救急医療」を目指して

救命救急外来 看護師長 和田 里美

当院では三次救急の搬送依頼は医師、二次救急の依頼は看護師が担当しており、救急医療部の医師はもちろんのこと、各診療科と連携を取りながら「断らない救急医療」を目指しています。緊急度・重症度の高い救急救命においては患者さんやご家族の不安もかなり大きいと考えられますので、患者さんやご家族の目線に立ってその思いに寄り添いながら迅速で適切な看護が提供できるよう、スタッフ一同日々努力しています。

関連記事