当科では患者さんの状態に応じて手術、抗がん剤+手術、手術+抗がん剤、放射線療法などさまざまな集学的治療を行っています。
食道癌には、最新のデータに基づく術前化学療法で腫瘍縮小を図り、胸腔鏡と腹腔鏡を駆使した低侵襲食道癌手術を行い、90歳以上の超高齢者にも安全な食道手術が可能です。
胃癌では、安全で術後の生活も考慮したテーラーメイドの治療に務めています。切除で治癒可能な場合には、低侵襲ロボット手術や縮小手術(迷走神経温存手術や幽門輪保存手術)を、進行癌に対しては、抗がん剤や免疫療法、放射線治療などに、外科的手術も組み合わせた集学的治療で良好な治療成績を実現しています。
大腸癌に対しても、術後のQuality of Lifeの向上を目的に早くから腹腔鏡下手術を取り入れ、腹腔鏡下大腸手術では日本の最先端医療を担う施設の一つとなっています。また直腸癌に対しては根治性を保ちつつ、できるだけ肛門機能を温存する手術を行っています。近年では胃癌・直腸癌に対するロボット支援下手術も導入して、適応症例では一層精緻で体にやさしい手術治療が可能となっています。
肝癌や胆道癌に対しては全例で3次元CT画像により術前シミュレーションを行い、安全性と根治性のバランスを考慮した切除範囲を設定しています。さらに、肝切除の2/3は腹腔鏡下で行っており、高難度肝切除とされる亜区域切除・区域切除・2区域切除に対しても安全に低侵襲肝切除を行っています。また、IGC試薬・5-アミノレブリン酸を用いて「癌を光らせる」ことによって、癌を可視化して正確な肝切除術を行っています。
膵癌に対しては抗がん剤治療、放射線治療を組み合わせた集学的治療を行い、近年、膵癌の手術が急増し、手術も腹腔鏡や手術ロボットによる膵切除も行うことで、良好な手術成績を上げています。
胆石症に対しては、傷が臍部である単孔式腹腔鏡下手術を、これまでに1,500例以上行っている先進的な施設であり、患者さんに大変喜ばれています。
小児外科領域では、小児科との協力体制により包括的なアプローチを行っており、新生児を含めた小児を対象とした外科的治療を提供しており、ヘルニアなどの一般的な疾患から小児特有の希少疾患までをカバーしています。
また近年、食生活の欧米化に伴い高度肥満や、高齢化社会に伴い鼠径部ヘルニア、食道裂孔ヘルニア、直腸脱など、がん以外の疾患の患者が増加している。これらの疾患は、病状が進行することで患者の生活の質(QOL)は下がることになる。そこで、それら疾患に対しても当科で培ってきた低侵襲外科手術を提供し、QOLを改善してもらうことを目的に“機能改善班“と命名し2023年4月より、新たな班を立ち上げ、いわゆる良性疾患に対しても積極的に腹腔鏡下手術を行っている。
ご紹介にあたっては必ずしも確定診断の必要はありません。疑い病名でも結構ですのでお気軽にご相談ください。セカンドオピニオンとしてのご紹介もお待ちしています。