高度肥満症について

一般・消化器・小児外科

高度肥満症

食生活の欧米化に伴い肥満の方は増加しています。肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、体格指数「Body mass index(BMI)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」を用いて25kg/m2 以上を「肥満」と定義し、35以上を「高度肥満」と定義されています。肥満により、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、心疾患などの疾患を合併し、平均寿命が短くなることが知られています。欧米の調査では、BMI25以上ではBMIがおよそ5増加するにしたがって死亡率が約30%増加することが報告されています。しかし、適切な治療により体重を減量することで、肥満関連合併症が改善され、健康寿命も改善すると言われています。

BMIの自動計算

BMI=体重(kg) ÷ {身長(m) X 身長(m)}

身長:(cm)

体重:(kg)

BMI 早見表

判定 BMI
低体重 18.5未満
普通体重 18.5~25未満
肥満(1度) 25~30未満
肥満(2度) 30~35未満
肥満(3度) 35~40未満
肥満(4度) 40以上

減量・代謝改善手術

高度肥満症に対する外科治療は、高い減量効果とともに、肥満に関連する代謝疾患に対しても有効性が明らかであり、「減量・代謝改善手術」と呼ばれています。 減量・代謝改善手術は、内科的治療に比べて長期的に減量を維持でき、肥満関連合併症の改善効果が高く、肥満関連の死亡率が改善することが知られています。『日本の肥満症診療ガイドライン2016』では、6ヶ月以上の内科的治療で改善が見られないBMI35以上の高度肥満症に対して、減量・代謝改善手術が推奨されています。日本では2014年に減量・代謝改善手術として腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険収載されました。

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、腹腔鏡下に胃を半分程度切り取り、胃をバナナの形に形成して食事容量を制限する手術です。お腹に、5~12㎜の穴を5箇所ほどあけて、腹腔鏡の画像を見ながら、胃の外側を専用の器械で切り取ります。切り取った胃は、お腹にあけた一つの穴を3㎝程度に広げて摘出します。 手術は全身麻酔で行います。腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べ低侵襲手術であり、手術翌日より歩く練習を始めます。10日前後で退院が可能です。術後は流動食が中心になりますが、退院後は柔らかいもの、固形物と順に摂取していただきます。
  • (手術ビデオ)

チーム医療

安全で効果的、そして健康的な減量治療を達成するために、患者さんを中心として、内科、外科、精神科、麻酔科、リハビリテーション科、看護師、管理栄養士、理学療法士など組織横断的な医療チームで、個々の患者さんにとって最適な治療にあたっています。この治療を受けるにあたって大切なことは、胃を切除して簡単にやせるという考えではなく、一連の治療を通して患者さん自身がライフスタイルを変えていこうという意志と努力です。その思いを達成するために、私たち医療チームは全力でサポートさせていただきます。

受診について

かかりつけ医にご相談ください。かかりつけ医から本院医療連携室にご予約をお願いします。
 
  • 診察 : 機能改善外来 毎週 火曜日 木曜日