アレルギー性結膜炎、春季カタルなどのアレルギー性眼疾患(眼科)
アレルギーセンター
アレルギー性結膜疾患とは
アレルギーが関与する眼科の病気には、さまざまなものがありますが、
眼科で治療をするものは、主に、アレルギー性結膜疾患です。
アレルギー性結膜疾患とは、Ⅰ型アレルギー反応を主体とした結膜の炎症性疾患で、抗原により引き起こされる自覚症状・他覚所見を伴うものです。
その中で、代表的なものとしては、アレルギー性結膜炎、アトピー角結膜炎、春季カタルなどがあります。
アレルギー性結膜炎
通年性と季節性のものがありますが、季節性のものとしては、花粉症(花粉性結膜炎)があります。皆さんが、花粉が飛ぶ時期になると、眼が痒くて充血するのは、花粉(抗原)に対するアレルギー反応により、結膜に炎症性変化が起こるからです。痒みだけでなく、異物感や目やに流涙などの症状が出ることもあります。
治療でまず使われるのは、抗アレルギー薬の点眼ですが、重症になると副腎皮質ステロイド点眼薬の使い分けや、もっと重症になると免疫抑制剤の点眼やステロイドの内服が必要になることもありますので、あまりひどくならないうちに、アレルギー専門医にきちんと相談されることをお勧めします。
予防やセルフケアも大切です
花粉の時期だけにおこる季節性のアレルギー性結膜炎に悩まされいる方も多いでしょう。花粉が飛散する季節には、花粉情報をうまく活用して外出を控えたり時間をずらしたりしましょう。また、外出の際には花粉防御用メガネをかけることも効果的です。外出時の衣類も花粉が付着しにくい滑りのよい生地でできたものを選んで、帰宅時はこれらの衣類は玄関で脱いで、室内に花粉を持ち込まないようにしましょう。帰宅後は、うがいや鼻をかむ習慣をつけると良いでしょう。
アトピー角結膜炎
アトピー性皮膚炎の患者さんに起こる慢性のアレルギー性結膜疾患のことで、顔面、特にまぶたにも皮膚炎の症状があります。治療は、第一選択は抗アレルギー薬の点眼ですが、結膜のみならず角膜(黒目)にも病変が及ぶこともあり、ステロイド薬や免疫抑制剤の点眼を併用することもあります。
また、眼科の治療と同時にアトピー眼瞼炎の治療を積極的に行う必要がありますので、皮膚科や内科のアレルギー専門医とも連携して総合的に治療しなくてはいけません。
春季カタル
春季カタルとは、あまり聞きなれない病気かもしれませんが、上眼瞼結膜や角膜輪部(角膜と結膜の境界)に増殖性変化を来す、重症のアレルギー性結膜疾患です。
幼少期に発症し学童期に多いとされ、アトピー性皮膚炎を合併していることもあります。
重症になると、角膜にシールド潰瘍や角膜プラークという病気を引き起こし、視力障害の原因となります。原因となる抗原はハウスダストやダニが多いですが、そのほか花粉、動物のふけなど多種類が考えられます。
治療は、抗アレルギー薬では効果がない場合は、免疫抑制剤の点眼を使用します。また、ステロイドの点眼薬や内服薬、瞼結膜下注射が必要なこともありますので、アレルギー専門医での治療が望ましいでしょう。
アレルギーセンターへご紹介下さい
・重症アトピー性皮膚炎のある症例で結膜炎を併発している症例。
眼科へご紹介下さい
・春季カタルでタクロリムス点眼の治療を希望される症例。
・アトピー性皮膚炎関連の眼合併症(白内障、円錐角膜、網膜剥離)で治療を希望される症例。
2022.06.01 文責:向井 規子、田尻 健介(眼科)