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三尖弁閉鎖症:TA

右心房と右心室との間の三尖弁が形成されなかった疾患で、右心房の血液は心房中隔欠損孔(ASD)を通して左心房に入ります。右心室は通常非常に小さく(低形成)であり、肺への血液の流れを確保するためには合併する心室中隔欠損孔(VSD)や動脈管の開存を必要とします。肺血流が著しく少ない場合は高度となり、早期にブラロックシャント手術(「ファロー四徴症」参照)が必要となることがあります。

通常は右心室がとても小さく、肺循環を維持できないので、左心室のみの単心室として扱われます。このため、フォンタン手術(「フォンタン手術」参照)の対象となります。ブラロックシャントで、肺動脈が育ってから両方向性グレン手術が行われます。この手術では上大静脈を右肺動脈に吻合し、上半身の静脈の血液を心臓にではなく肺に流します。更にそののちにフォンタン手術が行われます(「左心低形成症候群:HLHS」参照)。フォンタン手術では下大静脈の静脈血液も肺動脈に直接流れるようにします。結果的に肺の血液循環が心室を介さずに維持されます。

両方向性グレン手術及びフォンタン手術による新しい肺循環は、肺の血管が十分に成長していて、かつ血管抵抗が正常である場合にのみ成り立ちます。

よくあるご質問

  • 三尖弁閉鎖症(TA)とはどのような病気ですか?
    三尖弁閉鎖症(TA)は、右心房と右心室の間にある三尖弁が生まれつき形成されていない先天性心疾患です。右心室は十分に発育できず、小さな右心室(低形成右心室)となることが特徴です。
  • 三尖弁閉鎖症は重症の先天性心疾患ですか?
    はい。右心室の発育が不十分なため、出生後から段階的な外科治療が必要となる重症先天性心疾患です。
  • 三尖弁閉鎖症は自然に治りますか?
    いいえ。心臓の構造異常による病気のため自然に改善することはなく、外科治療が必要です。
  • なぜチアノーゼが起こるのですか?
    肺へ流れる血液量が不足しやすく、酸素の少ない血液が全身へ送られるためです。唇や皮膚が青紫色になるチアノーゼを認めることがあります。
  • 右心房の血液はどこへ流れるのですか?
    三尖弁が存在しないため、右心房の血液は心房中隔欠損(ASD)や卵円孔を通って左心房へ流れます。 
  • 三尖弁閉鎖症では右心室は機能するのですか?
    多くの場合、右心室は非常に小さく、肺循環を維持するための十分なポンプ機能を果たせません。そのため単心室循環として治療が行われます。
  • どのような症状がありますか?
    チアノーゼ、多呼吸、哺乳不良、体重増加不良などがみられます。肺への血流量によって症状の程度は異なります。
  • ブラロックシャント手術とは何ですか?
    肺への血流が不足している場合に、体動脈と肺動脈を人工血管でつないで肺血流を増やす手術です。フォンタン循環を目指すための第一段階治療として行われます。
  • 両方向性グレン手術とは何ですか?
    上大静脈を肺動脈へ直接つなぎ、上半身から戻る静脈血を心臓を通さず肺へ流す手術です。フォンタン手術前の重要な中間段階となります。
  • フォンタン手術とは何ですか?
    下大静脈を含む全身の静脈血を肺動脈へ直接流し、1つの心室で全身循環を担うように再建する手術です。三尖弁閉鎖症における最終段階の治療となることが一般的です。
  • フォンタン手術は誰でも受けられますか?
    肺動脈の発育や肺血管抵抗、心室機能などの条件を満たしている必要があります。すべての患者さんが適応になるわけではありません。
  • 手術後は普通の生活ができますか?
    多くのお子さんはチアノーゼが改善し、学校生活や日常生活を送ることが可能になります。ただし定期的な循環器フォローアップが必要です。 
  • 三尖弁閉鎖症の予後はどうですか?
    段階的手術の進歩により長期生存率は向上しています。フォンタン循環到達後も定期的な検査と専門的な管理が重要です。 
  • 成人後も通院は必要ですか?
    はい。フォンタン循環の機能評価、不整脈、肝機能、心機能などを継続的に確認するため、成人先天性心疾患専門外来での長期フォローアップが推奨されます。